うなじの触手で掴み、振り回し、封鎖される研究所から 5 分で脱出する 3D アクション。企画を書き始めてから、3 つの章と 2 つの結末まで遊べる形になるまで、およそ 1 週間。作者のいのべえが AI(Claude Code)と組んで作りました。そのあいだに何を考え、どう変わっていったかの記録です。
作者がゲームを作り続ける挑戦の 1 本目として、10 月 1 日の夜に企画を書きました。最初に決めたのは、絵や物語より先に「プレイヤーが何に迷うか」です。
一言で言うと: 人の形をした実験体が、首の後ろ(うなじ)から生えた 2 本の触手で研究所から逃げる。途中で 3 本目が生える。
迷いどころ: 敵は脅威であり、燃料でもある。倒すと封鎖のタイマーが戻るので、避けて先を急ぐか、寄って倒して時間を稼ぐかを、ずっと選び続ける。寄り道の標本で触手が伸び、技を止めずにつなぐほど得点の倍率が上がる。
遊びの入れ子: 3 秒(触手で掴んで飛ぶ・投げる)、30 秒(区画を抜ける)、3 分(研究所からの脱出。毎回違う道で)。
先に固めること: キャラ・カメラ・操作の手触り。数値は遊びながら変えられるようにし、入力は少し甘く受け付け、うまくいった瞬間に止め・揺れ・音を入れる。
作り始めて約 4 時間後の深夜 2 時に、人の形の動き・カメラ・触手(掴む・掴み替える・離す)・敵・練習・画面の表示・タイトルと結果までがつながり、通しで遊べるようになりました。昼には、ステージを広げ(動くフックの搬送ライン・レーザーの警備区画・雨の夜の地上ヤード)、見た目を自作のシェーダーと粒子で作り直しました。午後には、触手を「うなじから細く生える」形にし、3 本目が生える場面を足しました。


触手を出す時に体が棒立ちになっていたので、狙う向きへ体ごと向き、手で手繰るように動きを合わせました。7 タイプの想定プレイヤー(うまい人・苦手な人・説明を読まない人・審査員・実況者 など)に通しのプレイを見せる机上のテストをして、「動かせるまで 28 秒は長い」「パッドなのに『クリック』と出る」などを直しました(AI が想定した人物なので、本物の人のテストの代わりではありません)。夜には、触手に吊られた操り人形のような最後のボス「回収用素体00」と、ゲームの文の書き直し(219 件を見直して 129 件)。
左下の顔の窓や通信の窓の立ち絵を、ChatGPT の画像生成で作った本番の絵に替えました(主人公 8 表情・通信の相手 6 表情。作り方は下の節に)。呼吸・まばたき・口ぱくで動き、被弾や技、時間切れの前で表情が変わります。効果音は、自由に使える CC0 の素材 39 個を波形から切り出して重ね直しました。画面に出る文は約 310 行を 1 つの表にまとめ、作者が表を直して保存するだけでゲームに当たるようにしました。最後のボスには、全部抜くと胸が開く「守りの触手」を足しました。
作者の台本で、オープニングを作り直しました。曲は作者が音楽生成 AI で作ったものに替え、イントロは 1 回だけ鳴らし、曲の後半から前半の似た所へ重ねて戻るループにしました。アクションが苦手な人向けの「やさしいモード」。そして、研究所を出た後の第2章「夜明けの街」と、第3章「最後の一本」のたたきを、同じ日に入れました。
立ち絵から前・左・右・後ろの三面図を作り、3D のモデル生成で骨の入った人型にして、ゲームの動きをそのまま使えるようにしました(作り方は下の節に)。第2章のヘリと所長の戦い、怒りで体が侵食されていく見た目、街の仕上げ(浮いていたリングに支え、封鎖の車、信号、電線)。ブラウザ版も軽くしました。



作者が遊んで出した頼みを、まとめて直した日です。行の終わりに 1 文字だけ落ちる折り返しをなくし、敵の体力の帯を作り直し、ボスの最後の一撃を「止め・2 色の絵・下から見上げる絵・ゆっくり」で決めました。字体も替えました。何も選ばなかった時の字体は AI が作る画面の定番なので、見出しは記録らしい明朝、会話と説明は台詞らしい字にしています。PV の企画と絵コンテもこの日に。


場面の後のカメラのずれを直し、押している間ずっと走るダッシュと、遊び方の画面(マウスとコントローラーのタブ)を足して、unityroom に(まだ非公開で)登録しました。アイコンは、ゲームの録画から振り子とドローンを振り回す場面を切り出して作りました。


unityroom のランキング(集めた標本の数)と、毎回変わるタイトルの背景を入れました。PV は 3 本(ティザー 30 秒・本編・縦長)作り、本編は意味の薄いカットを削って 89 秒から 75 秒に詰めました。公開の前には、遊ぶ間ずっとエラーや「先へ進まない所」を記録する見張り役を作り、自動で全部の章を遊ばせて、見つかった 21 か所を直しました。10 月 10 日の夜に一般公開しました。


黒・白・濃いピンクの画面に、放射状の集中線と傾いた大きな文字を重ねると、有名な作品の雰囲気に寄って見えてしまいます。そこで、研究所の「標本台帳」(記録用紙・朱の判子・赤ペン)に見た目をそろえ、主人公の見せ場だけ、紙を内側から触手が破るようにしました。


| だれが | やったこと |
|---|---|
| 作者(いのべえ) | 企画・オープニングの台本・せりふの直し・見た目や手触りの判断・遊んで「ここが変」を出す・最後の決定 |
| Claude Code(Anthropic) | ゲームのプログラム、ステージやシーンをコードで組み立てる道具、自分でゲームを遊んで確かめる仕組み、PV を組み立てる道具、デバッグ |
| ChatGPT(画像生成) | 立ち絵(主人公 8 表情・通信の相手 6 表情と、まばたき・口の差分)、3D のための三面図 |
| Tripo(3D 生成・画像生成) | 人物 3 人と最後のボスの 3D、車・刃・判子を押す手の 3D、遊び方の画面の機器の図 |
| 音楽生成 | BGM(作者が Suno で作成) |
人物の絵と 3D は、画像生成と 3D 生成の AI で作りました。ただ、AI に「描いて」と頼むだけでは、表情ごとに顔の位置がずれたり、ゲームの動きに使えない形で出てきたりします。そこで、Claude Code が頼み方の文と、できた物をゲームに入れる道具を作り、作者が 1 枚ずつ確かめて進めました。
いちばん最初の顔は、Claude Code のコードが図形を重ねて描いた仮の絵でした(10/3 の夕方)。その夜、ChatGPT で描き込んだアニメ調の絵を作り、作者の頼みで手描き風に寄せた案も試しました。けれど、作者が最後に選んだのは仮の絵の素朴さでした。そこで仮の絵だけを ChatGPT に渡し、顔・髪・服・触手の形はほとんどそのままに、線と塗りだけを少し整えてもらって、それを本番の基準の絵にしました。仮の絵から本番まで、約 5 時間です。








第3章で暴走していく 4 段階の立ち絵は、作者の ChatGPT のアプリ(Work モード・GPT-6.1 Sol)を、作者に頼まれた Claude Code が画面操作で動かして作りました。頼む文も Claude Code が書いています。
Tripo の画面は、作者のブラウザで Claude Code が操作しました。生成の設定と手順は、すべて記録に残しています。





安全な道と強気な道を両方用意し、強気な道のごほうび(時間が戻る・倍率が上がる)を画面で見せる。
参考にするのは手触りやテンポの考え方まで。配色・文字・構図はまねず、ゲームの中の「標本台帳」から見た目を作る。
何も選ばなかった時の字体、意味のない英字のラベル、細い枠線の箱、左右対称、どこも同じ強さの演出。AI が作る画面によく出る癖を一覧にして、1 つずつ直した。
命令形やダッシュ、大げさな言葉を使わない。目的は 1 行に 1 つ。キーボードとコントローラーで言い方を変える。
バグはまず同じ手順で起こしてから直し、直った後も同じ手順で確かめる。公開の前に自動で全部の章を遊ばせた。